KDDIと大林組、NECは、第5世代通信規格(5G)を活用して、建設機械の自動運転などにより道路造成工事を行う実証実験に成功した。3台の建設機械の遠隔操作と、自動運転システムを搭載した振動ローラーを同時に連携させるとともに、工事に必要な施工管理データをリアルタイムに送信して解析することで、品質確保も確認できた。総務省の5G総合実証試験の一環。三重県伊賀市で建設中の川上ダム(水資源機構発注)で実験しており報道陣に14日公開した。専門的な技能を持つオペレーターが搭乗しなくても遠隔で操作できるシステムや、ICT(情報通信技術)を活用したセンシング技術により統合施工管理システムを構築することが狙い。
遠隔操作は、油圧ショベルとクローラキャリア、ブルドーザーで実施した。前方映像用カメラや全方位カメラを設置し、5Gで計12台のカメラ映像と遠隔操作の信号データを伝送した。工事エリア全体を俯瞰(ふかん)できる4K3Dカメラの映像なども活用して、約500メートル離れた操作室でオペレーターが操作し、土砂の掘削から運搬、敷きならしを行った。音や振動も伝えることで、臨場感を持って操作ができる。 遠隔操作で動く建機
操作室内
日刊工業新聞より抜粋いたしました。
この分野は現在、建設会社や建設機械メーカーが協力又はしのぎを削って開発を進めています。その背景には熟練職人の高齢化や若い世代の減少、インフラ老朽化に伴う補修工事の増加により、深刻な人手不足の状態にあることと安全意識の高まりがあり、遠隔・自動運転が主流になりつつあるようです。「建設現場の工場化が進んでいる」ということですね。
しかし、「専門的な技能を持つオペレーターが搭乗しなくても」というところがひっかります。写真の操作室で働く人は専門的なオペレーターでなくても遠隔操作できるということでしょうか。
まず建機の自動化については、熟練技術者の操縦データから効率的なアームの動かし方のモデルを形成し、そのモデルをもとにネットワークでつないだ建機を動かすのが一般的なプロセスとなります。ただ大型建機の場合は、乗用車の自動運転とは異なります。アームを伸ばしたり、土砂を救い上げたりといった作業の際に姿勢や重心が変化する中での操作となることから、自動運転では対処できない場合には遠隔操作となります。遠隔操作となる場合、通信の遅れなどのより応答遅延も発生するため、対処すべき変数がより多くなります。しかし適応予測制御技術では、実際の建機の状態に適応することと予測することの両方を行うことができます。
まとめると、まず熟練職人の操作を機械に学ばせ、学習した動きを適応予測制御を使い建機の動きに反映させます。将来的には適応予測技術の活用データを蓄積し、それを機械学習に反映させることで、より精度の高い自動化を実現していくこととなります。よって今までの建機オペレーターの技術がなくても現場の施工ができるようになりそうです。
近い将来、都心のビルのオフィスでダムを作っていそうです。